風力発電の不安定さについて
風力発電は合計19億kwというポテンシャルを持ちながら、日本ではなかなか普及が進みません。その大きな理由となっているのが、電気供給の不安定さです。
風力発電は当たり前ですが風を受けてタービンが回ることで電気を発生させる「風任せ」の仕組みです。風が吹かなければ電力供給は大きく落ち込んでしまいます。
もちろん、建設前に綿密な調査を行い、安定した風がなるべく吹くような場所を候補地として選定するわけですが、それでも自然が相手、常に都合よく一定の風が吹くというわけではありません。
こうした風力発電の持つ弱点がネックとなり、各電力会社は風力発電を積極的に導入してこなかったと言われています。しかし、そうした弱点を克服できる可能性があるのが「電気の地域間連系」です。
地域間連系のしにくさに「闇」が見える
電気の地域間連系とは、地域同士で電気の余っているところから不足しているところに融通する仕組みです。例えば、東京電力管内で不足しているという場合、東北電力や中部電力で電気が余っていれば東京電力管内に送る、といったようなことが可能になります。
この仕組みがあれば、風力発電の不安定さを克服できる可能性があります。事実、風力発電の導入が進んでいるヨーロッパでは、国同士でも電力を融通できる仕組みがあるので、電力不足による混乱は起きていません。
しかし日本では、各地域の電力会社の独立性が強く、地域間連系が難しい状況があります。有名なのが西日本60Hzと東日本50Hzという周波数の違い。こうした分断によって各電力会社が利権を握る構造が続いてきました。
こうした構造にはいかにも日本的な「闇」を見るような気がします。
それでも自然エネルギーへの転換は避けられない
しかし、原子力の危なさは皆身に染みてわかっています(もちろん、だからと言ってすぐ「廃炉」というのが現実性のないことも)。石炭や石油といった化石燃料は有限です。そうだとすると、長い目で見れば自然エネルギーによる発電への依存を深めていかなければ、それこそ経済的なインパクトもあるのでは、と私なんかは単純に思います。政治的な姿勢は関係なく、数十年〜数百年のスケールで考えれば。
そうはいっても、政策的な潮流はなかなか変化させることはできません。とっかかりは「とりあえず何か自分でやってみる、作ってみる」という個人の実践にしかないのかもしれません。