目の前の事だけ考える、というのは簡単なようで難しく、しかしそれさえ出来てしまうと驚くほど愉快な気持ちになれます。
それから言葉の事。
人が発する言葉はその人の人生を形作ります。
人の悪口が推奨されることがあまりないのは、言われた人の事を慮ってでもなければ、聞かされた人の気分でもなく、言った本人に直接、一人称で反映されるからだという事を私は確信しています。
誰しも無意識のうちにその事を知っているのではないかと思います。目の前の事というのは本当に目の前の事で、ドアを開ける、椅子をひく、腰掛けるなども含みます。
舞台俳優のように、それらの一つ一つの動作に気持ちを集中する事は、人生を鮮やかに、濃くします。より悩み深い時、窮地に陥ったときこそ有効です。
悩みの本筋から離れて、無用で悲観的な想像の中で堂々巡りしそうな時に役立つ方法です。「さあ、立とう。」と宣言して椅子から立つのも、有言実行です。このあまりにも細やかな有言実行の積み重ねによって、自分の発する言葉と自分自身は確固とした信頼関係が確立し、言葉が本当に味方になってくれるのだろうと思います。
アファメーションという方法を耳にしますが、このような仕組みで成り立っているのではないだろかと私は考えています。